すれ違う偶然

今年も一週間過ぎてしまったが、トイレに置く小さいカレンダーが欲しくて、ロフトで買った。店を出るときにすれ違った男性の横顔がなぜか知っているような気がして、(もちろん知り合いではない)歩きながら、ふと考えた。

もし、彼が何十年ぶりかに会う人で、すれ違った後で気づいて振り向いても、もうこの雑踏の中では2度と会うことはやはりないだろうと。

街の中ですれ違う偶然というのはどれくらい起こるものなのかしら。しかし、確率的には天文学的なはずなのに、出会ってしまうというのが、お互いを引き寄せる見えない力があるのだろうか。ドラマでは嘘くさい偶然も現実には時に起こる。

そんなことを考えながら、伊勢丹を通り抜け、途中後ろから来たおじさんに、「駅はこちらですか?」と聞かれて、「そうです。このまままっすぐ行って突き当りです」

と答えて、私は駅ビルのエスカレーターを上っていった。

3階から4階へと上がる時に、数人後ろで2階から3階に上がってきた人の顔を何気なく見て、なんと先ほどロフトですれ違った人がいた。

思わず、振り向いて確認してしまったが、もちろん知っている人ではなかった。

それでもエスカレーターを上ってくる彼のバックには「あの日、あの時、あの場所で〜」と歌が流れていた。